常用(人工代)の請求書の書き方とテンプレート
このページの要点
- 常用(じょうよう)の請求書は、日当で入った日を1行ずつ「人工(にんく)×単価」で並べ、締め日までの1回分をまとめて請求する書類です。請負の一式の仕事も、同じ明細に1行で混ぜて書けます。
- 明細20行・材料などの経費・立替金・消費税の集計が入ったA4縦1枚のひな形を、エクセル(数式入り)とPDFで無料で配っています。会員登録はいりません。
- インボイス(適格請求書)として出すなら、消費税法 第57条の4 第1項の6つの事項が要ります。どの欄がどの事項に当たるかを、条文と並べて説明します。
一人親方・職人さんが元請や工務店へ出す、常用(人工代)の請求書のひな形です。エクセル版は「請求書」(空欄)と「記入例」の2枚のシートで、人工と単価を打てば金額・小計・消費税・ご請求金額まで自動で出ます。
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常用の請求書とは(請負・出来高との違い)
建設の仕事の請求は、おおきく3つの数え方に分かれます。このひな形は常用を中心に、請負の一式を何行か混ぜられる形にしています。
| 数え方 | 金額の出し方 | 請求書の明細 |
|---|---|---|
| 常用(人工代) | 入った日数・時間を人工で数え、単価を掛ける | 日ごと(または現場ごと)に人工・単価・金額 |
| 請負(一式) | 決めた仕事を、決めた金額で仕上げる | 工事の名前と「一式」の金額 |
| 出来高 | 大きな工事を、進んだ割合で分けて請求する | 契約の金額・今回までの割合・今回の請求額 |
出来高で請求する工事は、契約の金額と進み具合を並べる別の形になります。このページでは扱いません。
欄ごとの書き方
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 宛名 | 請求する相手。会社なら「御中」、個人なら「様」 |
| 請求日・請求書番号 | 請求書を出す日と、自分で決めた通し番号(「2610-01」=年月と連番など) |
| 対象期間 | 取引先の締め日で区切った1回分(20日締めなら前の月の21日〜その月の20日) |
| ご請求金額 | 集計のいちばん下と同じ金額(エクセル版は自動で入る) |
| お支払期限 | 取引先と決めた支払日(「翌月末」など) |
| 発行者・住所・電話 | 自分の屋号と名前・連絡先 |
| 登録番号 | インボイスの登録番号(T と13桁の数字)。登録していなければ空けておく |
| 明細 | 日付・現場と作業の内容・区分(常用か請負か)・人工・単価・金額・摘要 |
| 材料などの経費 | 自分で買って仕事に使った材料など、売上として請求する分(消費税の対象) |
| 立替金 | 取引先の代わりに払い、実費で返してもらうお金(駐車場代・高速代など。消費税の対象外) |
| 集計 | 10%対象の合計(税抜)・消費税・立替金・ご請求金額 |
| 振込先・備考 | 口座と、人工の数え方の取り決め(「1日8時間を1.0」など)を一行 |
人工代の書き方(1.0・0.5・残業)
- 1日まるごと入った日は 1.0、午前だけ・午後だけの日は 0.5 と書きます。記入例では 9/26 が 0.5 で、金額は 22,000円 × 0.5 = 11,000円 です。
- 残業は、取引先と決めた刻みで人工に足します。記入例は「2時間を0.25」と決めた形で、9/29 は 1.25 人工 × 22,000円 = 27,500円。決め方は備考の欄に一行書いておくと、先方の勤怠の記録と比べるときに説明がいりません。
- 請負の仕事は、人工の欄に「一式」と書きます。エクセル版は、人工の欄が数字でなければ単価の欄の金額をそのまま金額に入れます(記入例の 10/7 のクロス張替え 48,000円)。
- 「常用の人工の合計」は区分が常用の行だけを足します(記入例は 16.25 人工)。請負の行は人工の合計に入りません。
同じ取引先でも、現場ごとに単価がちがうときは行ごとに単価を書き分けてください。明細が長くなる月は、同じ現場に続けて入った日を「10/13〜10/16 ◯◯ビル(4日)3.5人工」と1行にまとめる書き方もあります。その場合は日ごとの内訳として出面表を添えると、先方が確かめやすくなります。
インボイス(適格請求書)で書く6つの事項
登録番号を持つ事業者(適格請求書発行事業者)が、取引先から求められて交付する請求書には、次の6つを書きます(消費税法 第57条の4 第1項)。このひな形の欄との対応は次のとおりです。
| 号 | 書くこと | このひな形の欄 |
|---|---|---|
| 1号 | 発行する人の氏名か名称と、登録番号 | 発行者・登録番号 |
| 2号 | 取引の年月日(まとめて作るときは、その期間) | 明細の日付・対象期間 |
| 3号 | 取引の内容 | 明細の現場・内容、材料などの経費 |
| 4号 | 税率ごとに分けて合計した金額(税抜か税込)と、税率 | 10%対象の合計(税抜)・「消費税(10%)」 |
| 5号 | 税率ごとの消費税額等 | 消費税(10%) |
| 6号 | 受け取る事業者の氏名か名称 | 宛名 |
人工代も材料も税率は10%なので、ふつうは1つの区分で足ります。立替金は売上ではないので、4号の合計に入れず、別の表に書きます。
消費税の計算と立替金
- 消費税は、10%対象の合計(税抜)に1回だけ10%を掛けます。1円未満の端数は、1枚の請求書の税率ごとに1回だけ処理します(消費税法施行令 第70条の10)。端数を切るか、四捨五入か、切り上げるかは、条文では決めていません。エクセル版は切り捨て(ROUNDDOWN)にしています。
- 記入例では、明細の小計 405,500円 + 材料 5,280円 = 410,780円 に10%を掛けて、消費税は 41,078円 です。
- 立替金(駐車場代 4,000円・高速道路代 1,860円)は、消費税を足さずに最後に加えます。記入例のご請求金額は 410,780円 + 41,078円 + 5,860円 = 457,718円 です。
- 現場で払ったお金が「材料などの経費」と「立替金」のどちらに当たるかは、取引先との取り決めと中身で決まります。迷うものは顧問の税理士か税務署に確かめてください。
控えの保存と、まちがえたとき
- インボイスとして交付した請求書は、控え(写し)を7年間保存します。数えはじめは、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日です(消費税法 第57条の4 第6項・施行令 第70条の13。個人事業主の課税期間は、ふつう1月から12月)。控えは取引先ごと・月ごとにまとめておくと、問い合わせのときに探しやすくなります。
- 交付した請求書の記載に誤りがあったときは、直した請求書を交付し直します(同条 第4項)。手で書き足すより、番号を付け直した新しい1枚を出すほうが、双方の控えがそろいます。
記入例の読み方
- 宛名の元請は20日締めなので、対象期間は 9/21〜10/20 です。カレンダーの月(9月分・10月分)で区切らず、取引先の締め日で区切ります。
- 9/28〜10/2 の◯◯ビルの現場は、近くに駐車場が無く、コインパーキング代を立て替えています。摘要に「領収書の写しを添付」と書き、領収書のコピーを請求書に付けています。
- 登録番号の欄は、記入例では ◯◯ にしています。実際は T から始まる13桁の番号を書きます。
法令の根拠
- 消費税法 第57条の4(適格請求書発行事業者の義務)= 第1項(6つの記載事項)・第4項(誤りがあったときの交付し直し)・第6項(写しの保存)
- 消費税法施行令 第70条の10(消費税額等の計算と1円未満の端数)
- 消費税法施行令 第70条の13(交付した適格請求書の写しの保存・7年間)
常用の請求書そのものには、法律で決まった様式はありません。元請から決まった様式や書き方の指定があれば、そちらに合わせてください。
条文は2026年10月8日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です。税の扱いは取引の中身で変わることがあります。個別の判断は顧問の税理士か税務署に確かめてください。
毎日の出面から、そのまま請求書に
「出面帳&請求書」は、その日の出面(日付・取引先・現場・常用か請負か・人工・単価)をスマホでつけておくと、月末に取引先を選ぶだけで、締め日で区切った請求書のPDFができるアプリです。登録番号・10%の区分・消費税額の入ったインボイスの形で、立替金と材料などの経費も別の欄に入ります。日付ごとの明細のほか、現場ごとに1行にまとめた明細も選べます。
出面の記録は件数の制限なく無料で、請求書と出面表のPDFも無料版で作れます(無料版のPDFには「SAMPLE」の透かしが入ります)。記録は端末の中に保存され、アカウントの登録はいりません。
よくあるご質問
Q. インボイスの登録をしていません(免税事業者です)。このひな形は使えますか? A. 使えます。登録番号の欄を空けたまま、ふつうの請求書として出してください。ただし登録番号の無い請求書はインボイス(適格請求書)にはならないので、取引先の消費税の計算に影響します。取引先から登録について聞かれたら、顧問の税理士か税務署に相談してください。
Q. 取引先によって締め日がちがいます。 A. 請求書は取引先ごとに1枚で、対象期間はその取引先の締め日で区切ります。末日締めなら1日〜末日、25日締めなら前の月の26日〜その月の25日です。締め日は取引先ごとに控えておき、出面は日付順につけておけば、締め日に合わせて拾い出せます。
Q. 手書きの請求書でもインボイスになりますか? A. 6つの事項がそろっていれば、手書きでもかまいません。PDF版を印刷して書き込めば、欄がそろった1枚になります。渡す前にコピーをとって、控えとして保存してください。
Q. 消費税を、明細の1行ごとに計算してはいけませんか? A. インボイスでは、1枚の請求書の税率ごとに、合計に対して1回だけ端数を処理します(消費税法施行令 第70条の10)。1行ずつ計算して1円未満を切り捨ててから足すと、合計から計算した額とずれることがあるので、このひな形は合計に1回だけ掛ける形にしています。
Q. 法定福利費は書いたほうがいいですか? A. 見積書で法定福利費を分けて出している取引先なら、請求書も同じ分け方にすると、先方が見積と突き合わせやすくなります。明細の最後に「法定福利費」の行を足してください(10%対象に入ります)。書き方の指定がある場合は、それに合わせてください。
Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。行を増やす・欄の名前を変える・社名のロゴを入れるのも自由です。クレジット表記も不要です。
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