工事台帳のテンプレート(エクセル・無料)

このページの要点

  • 工事台帳は、1つの工事(現場)ごとに、契約した金額・請求と入金・かかった原価を書いて、その工事でいくら残ったか(粗利)を見る帳簿です。
  • 原価を材料費・労務費・外注費・経費の4つに分けて書くと、区分ごとの合計・原価の合計・粗利・粗利率・まだ入金されていない額をエクセルが計算するひな形を、無料で配っています。会員登録はいりません。
  • 建設業の許可を受けた業者は、建設業法 第40条の3で営業所ごとに帳簿を備え、工事ごとに引渡しから5年(新築住宅は10年)残す決まりがあります。このひな形はその帳簿の記載事項の全部ではありません(下の「建設業法の帳簿との関係」)。

工事台帳のひな形です。エクセル(xlsx)とPDFを用意しました。エクセル版は「工事台帳」のシートと「記入例」のシートの2枚で、1つの工事に1枚使います。

ダウンロード

工事が増えてきたら、エクセルのシートを工事ごとに複製して、シートの名前を工事No.にしておくと探しやすくなります。

工事台帳の記入例。上に工事名・工事No.・注文者・契約日・工事現場の所在地・工期・引渡し日・請負金額680,000円・追加と変更45,000円の欄。中段の左に請求と入金の表(着手金220,000円は入金済み・完成と残金577,500円は未入金)、右にこの工事の集計(契約金額725,000円・材料費162,300円・労務費179,000円・外注費77,000円・経費28,800円・原価の合計447,100円・粗利277,900円・粗利率38.3%)。下に原価の明細の表10行(日付・区分・内容・支払先・金額)
記入例(内装の小さな会社が、個人のお宅の洋室2部屋を改修した工事・架空)。名前・会社名・地名は ◯◯ にしています。金額は書き方を示すための仮の数字です。

工事台帳とは

工事台帳は、工事ごとの「お金の出入り」を1枚にまとめた帳簿です。決まった様式はありませんが、だいたい次の4つを書きます。

まとまり書くこと分かること
工事の情報工事名・注文者・現場・工期・契約日・引渡し日どの工事の台帳か
契約金額請負金額と、追加・変更の金額その工事でいくらもらえるか
請求と入金請求した日と額・入金された日と額まだ入っていないお金
原価材料費・労務費・外注費・経費その工事にいくらかかったか・いくら残ったか

月ごとの帳簿(売上帳・経費帳)だけでは、いくつもの現場の費用が混ざって、どの工事がもうかって、どの工事が赤字だったかが分かりません。工事台帳は、それを工事ごとに分けて見るためのものです。次の見積もりで「この種類の工事は材料費が何割かかるか」を確かめる時にも使えます。

原価の4つの区分

区分入れるもの書き方
材料費その工事に使った材料・部品納品書・請求書の日付と金額(税抜)。別の現場と一緒に買った時は、使った分だけ
労務費自社の職人・従業員がその工事で働いた分人工×単価。出面表(誰が・どの現場に・何人工)から写す
外注費他の会社や一人親方に頼んだ工事外注先の請求書の金額(税抜)
経費上の3つ以外で、その工事のためにかかった費用駐車場代・廃材の処分費・運搬費・機械のリース・養生材など

労務費は出面表から写すのがいちばん正確です。記入例では、自社の職人が下地とボード張りに4.0人工、クロス張りに3.0人工、床張りと棚の取り付けに2.5人工入っていて、人工×単価をそれぞれ1行にしています。人工の数え方と単価の考え方は人工の計算方法と計算表にまとめています。

自分ひとりで工事をする一人親方は、自分の手間を労務費に入れないことが多く、その場合の粗利は「自分の手間賃を含んだ残り」になります。自分の手間も入れておきたい時は、自分の人工×自分の単価を労務費に書くと、工事ごとの手間の多さが見比べやすくなります。

欄ごとの書き方

工事の情報

欄書くこと
工事名・工事No.契約書や見積書と同じ工事名。工事No.は「2026-018」のように年と通し番号にすると並べやすい
注文者・契約日工事を頼んだ人・会社と、契約した日(注文書・請書の日付)
工事現場の所在地現場の住所
工期・引渡し日着工から完成までの予定と、実際に引き渡した日
請負金額・追加と変更契約した金額(税抜)と、あとから増えた・減った工事の金額(減ったらマイナスで)。追加の内容も1行で

請求と入金は、請求書を出した日・内容・請求額と、入金された額を税込で書きます。合計の右に「未入金」の額が出るので、入金の確かめ忘れを防げます。

原価の明細は、支払いや納品の日付順に1行ずつ、区分(エクセル版は一覧から選ぶ)・内容・支払先・金額(税抜)を書きます。

集計の欄の計算(エクセルが自動で出す数字)

項目計算記入例の値
契約金額請負金額+追加・変更725,000円
区分ごとの合計原価の明細を区分で足す材料費 162,300円・労務費 179,000円・外注費 77,000円・経費 28,800円
原価の合計4つの区分の合計447,100円
粗利・粗利率契約金額−原価の合計/粗利÷契約金額277,900円・38.3%
まだ入金されていない額請求額の合計−入金額の合計577,500円

工事の途中でも、その日までの原価を書けば「今の時点でいくらかかっているか」が分かります。契約金額に近づいてきたら、追加の工事の相談や、残りの工程の見直しをする合図です。

建設業法の帳簿との関係

建設業法 第40条の3は、建設業者に、営業所ごとに営業に関する事項を書いた帳簿を備えて保存することを求めています。ここでいう建設業者は、建設業の許可を受けて建設業を営む者です(同法 第2条第3項)。

  • 書くこと(建設業法施行規則 第26条):請け負った工事の名称と工事現場の所在地、注文者と契約した日・注文者の名前と住所、完成を確かめる検査が済んだ日と引き渡した日、下請に出した時は下請契約の内容と支払いの記録など。契約書の写しなどを添えることも決まっています。
  • 残す期間(同規則 第28条):工事ごとに、引き渡した時から5年(発注者と結んだ新築住宅の工事は10年)。

このひな形の工事の情報の欄は、そのうち工事名・所在地・注文者・契約日・引渡し日を書けるようにしたものですが、帳簿の記載事項の全部を満たすものではありません(注文者の住所・検査の日・下請契約の事項・添える書類は入っていません)。許可を受けている人は、規則の事項がそろっているかを自分の帳簿で確かめてください。許可を受けずに軽微な工事だけを請けている人に、この帳簿の決まりはかかりません。

出面帳のアプリでできること

「出面帳&請求書」アプリは、毎日の出面(取引先・現場・常用か請負か・人工・単価)をスマホで記録して、出面表と請求書のPDFを作るアプリです。請求書は現場ごとにまとめることもでき、その現場の期間・出面の日数・合計の人工・金額が1行になります。工事台帳の労務費を書く時は、この現場ごとの人工と金額を写すと手早く済みます。駐車場代や材料の立替は「経費・立替」として請求書に載せられます。

アプリが作るのは出面表と請求書までで、工事ごとの材料費・外注費・原価の合計・粗利を出す台帳はアプリにはありません(経費・立替は取引先ごとにまとまり、現場ごとには分かれません)。工事台帳はこのひな形で作り、人工の数字はアプリから写してください。

出面帳&請求書アプリの請求書のPDFで、明細を現場ごとにまとめた表。期間・現場と内容・区分・人工・単価・金額の列で、8/1〜8/4の〇〇マンション改修(3日)は常用2.5人工、8/7〜8/19の△△様邸新築(6日)は常用6.5人工、8/15の□□ビル内装補修は請負の一式、合計9.0人工・217,000円
出面帳&請求書アプリの請求書(現場ごとにまとめた明細・架空のデモデータ)。全体の見本は記入例のページにあります。

App Storeで見る ・ Google Playで見る

よくあるご質問

Q. 工事台帳は法律で決まった書類ですか? A. 「工事台帳」という名前の様式は法律にはありません。建設業の許可を受けた業者には、建設業法 第40条の3で営業所ごとの帳簿の決まりがあり、工事台帳をその帳簿の一部として使う会社もあります。許可を受けていない人に帳簿の決まりはかかりませんが、工事ごとのもうけを知るために作っておくと役に立ちます。

Q. 原価の金額は税込と税抜のどちらで書きますか? A. このひな形は税抜で書きます。契約金額(請負金額)も税抜で書くので、粗利を同じ基準で比べられます。請求と入金の欄だけは、実際にやり取りした税込の額を書きます。

Q. いくつもの現場で使った材料はどう分けますか? A. 使った量の割合で分けて、それぞれの工事台帳に書きます。分けられない小さな消耗品は、どの工事にも入れず、会社全体の経費にしてもかまいません。

Q. 工事が赤字になりそうな時はどうしますか? A. 途中の原価を書いておくと、早めに気づけます。追加の工事があれば注文者と金額を相談して「追加・変更」の欄に書き、終わった工事は区分ごとの合計を見て、次の見積もりの材料費や手間の見込みを直してください。

Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。区分を足したり、行を増やしたりしてもかまいません。クレジット表記も不要です。

関連ページ

条文は2026年10月24日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です(建設業法は2025年12月12日施行の版、建設業法施行規則は2026年10月1日施行の版)。