一人親方の帳簿のテンプレート(エクセル・無料)

このページの要点

  • 白色申告の一人親方(個人事業主)も、売上と経費を記録した帳簿を付けて保存する決まりがあります(所得税法 第232条)。複式簿記は要らず、取引を日付・相手・内容・金額で書く簡易な方法でかまいません。
  • 請求した仕事を「売上帳」に、払った経費を「経費帳」に1行ずつ書くと、月ごとの売上と経費・費目ごとの合計・未入金をエクセルが集計するひな形を、無料で配っています。会員登録はいりません。
  • 帳簿は7年、請求書や領収書は5年、確定申告の期限の翌日から数えて残します(所得税法施行規則 第102条)。

一人親方の帳簿(売上帳・経費帳)のひな形です。エクセル(xlsx)とPDFを用意しました。エクセル版は「売上帳」「経費帳」「集計」の3枚と、同じ3枚の記入例の、合わせて6シートです。PDF版は1か月1枚で、印刷して手書きする人向けです。

ダウンロード

エクセル版は1年を1つのファイルで付けます。年が変わったら、ファイルを複製して「年」の欄を書き換えてください。

売上帳・経費帳の記入例(2026年10月分・◯◯内装)。売上帳は3行で、10/5 ◯◯工務店 クロスの張り替え 165,000円(10/30 入金)、10/20 ◯◯リフォーム 床の補修 88,000円、10/31 ◯◯建設株式会社 内装改修10月分 314,600円。合計 567,600円・入金 165,000円。経費帳は11行で、材料費・車両費・通信費・旅費交通費・消耗品費・外注工賃・損害保険料・接待交際費が並び、合計 115,990円。右下に この月の売上 567,600・経費 115,990・差引 451,610・入金の合計 165,000・未入金 402,600
記入例(内装の一人親方の10月・免税事業者・架空)。名前・会社名・地名は ◯◯ にしています。金額は書き方を示すための仮の数字です。

一人親方に帳簿が要る理由

事業で収入のある人は、青色申告の承認を受けていない人(白色申告の人)も、帳簿を備えて、その年の取引のうち売上(総収入金額)と必要経費に関する事項を記録し、帳簿と請求書・領収書などの書類を保存する決まりがあります(所得税法 第232条第1項)。記録の方法は「財務省令で定める簡易な方法」とされていて、複式簿記は求められていません。

所得税法施行規則 第102条は、この帳簿について次のように決めています。

決まり内容
記録のしかた事業所得の金額が正確に計算できるように、売上と必要経費に関する事項を、整然と、明瞭に記録する(第1項)
一緒に残す書類請求書・納品書・送り状・領収書など(自分が作ったものは控え)と、決算で作った棚卸表などの書類(第3項)
保存する期間帳簿は7年。そのほかの帳簿と上の書類は5年(第4項)
保存する場所住所地か、事業所などの所在地(第4項)

保存期間の数え始めは、帳簿はその年の翌年3月15日の翌日、書類は作った日・受け取った日の属する年の翌年3月15日の翌日です(同規則 第63条第4項の起算日)。つまり確定申告の期限の翌日から数えて、帳簿は7年、請求書や領収書は5年です。

このひな形の売上帳・経費帳は、この「簡易な方法」の記録に合わせて、日付・相手・内容・金額を1行ずつ書く形にしています。青色申告の承認を受けている人は、帳簿の決まりが別にあります(下の「よくあるご質問」)。

売上帳の書き方

欄書くこと
日付請求した日(仕事が終わった日・月末締めなら締め日)。入金した日ではありません
取引先請求書の宛名(元請・工務店・お客様)
内容現場名と、常用(人工)か請負(一式)か。請求書の番号も書いておくと、あとで突き合わせやすい
売上の金額(税込)請求書の合計の額。免税事業者は税込のままでかまいません
入金日・入金額振り込まれた日と額。入金があるまでは空けておき、空いている行が「まだ入金されていない仕事」になります
備考入金の予定日・値引き・相殺など

売上は「入金した時」ではなく「仕事が終わって請求できる状態になった時」の年に入れます。12月に終わった仕事の入金が翌年1月でも、12月の売上です。そのために、売上帳は請求した日で書き、入金は別の欄にしています。

立て替えた駐車場代や材料を返してもらう立替金は、売上ではありません。売上帳には入れず、立替金精算書などで分けて管理します。

経費帳の書き方

欄書くこと
日付払った日(領収書・レシートの日付)
支払先お店・会社・職人さんの名前
内容何を買った・何に払ったか。どの現場のものかも書いておくと、工事ごとの原価を出す時に役立ちます
費目一覧から選ぶ(エクセル版は入力規則)。下の表を目安に
金額領収書・レシートの額をそのまま。仕事と私用で両方に使うものは、いったん全額を書き、年末に按分します
支払い方法現金・カード・振込・引落し。カードと引落しは、明細が届いた時に書き漏れを確かめます

費目は、確定申告の収支内訳書の経費の欄に合わせています。

費目入れるもの
材料費クロス・ボード・ビス・塗料など、工事に使った材料
外注工賃応援を頼んだ職人さんへの手間代
車両費ガソリン代・駐車場代・車検・修理(通勤や私用の分は年末に按分)
旅費交通費高速代・電車・宿泊
消耗品費替刃・手袋・養生材・工具のうち安いもの
通信費携帯電話・ネット(私用の分は按分)
租税公課事業で使う車の自動車税・印紙代(所得税・住民税は経費になりません)
損害保険料自動車保険・工事の賠償保険・労災保険の特別加入の掛金
接待交際費取引先との食事・お祝い
雑費どれにも入らない少額のもの

高い工具や車は、買った年に全額を経費にせず、何年かに分けて経費にする決まり(減価償却)があります。10万円以上のものを買った時は、税務署か税理士に確かめてください。

1年の集計と確定申告

エクセル版の「集計」のシートは、売上帳と経費帳の日付を見て、月ごとの売上・経費・差引と、費目ごとの1年の経費、売上の合計・入金の合計・未入金を自動で出します。

集計使いどころ
月ごとの売上と経費忙しい月・薄い月が分かる。月末に請求の漏れがないかを見る
費目ごとの経費(1年)確定申告の収支内訳書の経費の欄に写す
未入金年末に、入金されていない請求(売掛金)が残っていないかを見る

仕事と私用で同じ車や携帯電話を使っている人は、年末に事業に使った割合を決めて、その分だけを経費にします。車の割合の出し方は車の家事按分の計算方法と計算表にまとめています。

出面帳のアプリでできること

「出面帳&請求書」アプリは、毎日の出面(取引先・現場・常用か請負か・人工・単価)をスマホで記録して、出面表と請求書のPDFを作るアプリです。請求書の金額がそのまま売上帳の1行になるので、月末の請求書を出したら売上帳に写す、という流れになります。駐車場代や材料の立替は、取引先ごとに「経費・立替」として記録して、請求書に載せられます。

出面帳&請求書アプリで作った出面表のPDF。1か月の出面が日付ごとに並び、取引先・現場・常用か請負か・人工・単価・金額の欄があり、下に合計がある
出面帳&請求書アプリで作った出面表のPDF(架空のデモデータ)。1か月の出面と金額が、売上帳に書く金額の元になります。

アプリは1か月または1年の出面の明細と立替経費をCSVで書き出すこともできるので、表計算に貼り付けて売上帳の元にできます。ただし、アプリにあるのは出面と請求、取引先に請求する立替経費までで、ガソリン代や材料などの自分の経費を費目ごとに付ける経費帳・1年の集計・確定申告の書類はアプリにはありません。売上の記録はアプリ、経費の記録と年の集計はこのひな形、という分け方をおすすめします。

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よくあるご質問

Q. 青色申告の人も、この帳簿でいいですか? A. 青色申告の承認を受けている人は、帳簿の決まりが別にあります(複式簿記か、簡易な簿記)。このひな形は白色申告の簡易な記帳に合わせたものなので、青色申告の人は、税務署や税理士に確かめてから使ってください。

Q. 免税事業者ですが、金額は税込で書きますか? A. 免税事業者は税込の金額で書く方法(税込経理)でかまいません。インボイスの登録をして消費税を納める人が税抜で書く時は、売上も経費も税抜でそろえます。どちらか片方だけ税抜にすると、集計が合わなくなります。

Q. 領収書がもらえない経費はどうしますか? A. 自動販売機・バスなど領収書の出ない支払いは、日付・支払先・内容・金額をメモして経費帳に書き、そのメモを残します。頻繁にあるなら、出金伝票の形にしておくと分かりやすいです。

Q. 手書きの帳簿でもいいですか? A. かまいません。PDF版は1か月1枚で手書きする形です。年末に12枚の合計を集計のシートに写すか、電卓で足して収支内訳書に書きます。

Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。費目を増やしたり、欄を足したりしてもかまいません。クレジット表記も不要です。

関連ページ

条文は2026年10月26日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です(所得税法・所得税法施行規則とも2026年10月1日施行の版)。