事故記録簿のテンプレート(無料)
このページの要点
- 事業用の車で事故が起きたら、運送業(軽貨物を含む)は貨物自動車運送事業輸送安全規則 第9条の2、介護タクシー・タクシーは旅客自動車運送事業運輸規則 第26条の2で、同じ8つの事項を記録します。
- 記録は、その車の運行を管理する営業所で3年間保存します。人がけがをしない物損の事故も記録に入ります。
- 1件1枚の事故記録簿と、3年分を見渡す事故の一覧を、エクセルとPDFで無料で配っています。死者や重傷者が出た重い事故は、これとは別に30日以内に自動車事故報告書を出します。
事故記録簿のひな形です。エクセル(xlsx)とPDFを用意しました。会員登録もメールアドレスの入力もいりません。
事故記録簿はA4縦の1枚が事故1件分です。上の段に法令で記録する8つの事項を条文の号の順に並べ、下の段に警察への届出・保険会社への連絡など、書いておくと後で困らない欄を付けました。エクセル版には、事故の一覧(1件1行・発生日から3年後の日付が自動で出る)のシートも入っています。
ダウンロード
- 事故記録簿テンプレート(エクセル・xlsx/事故記録簿・記入例・事故の一覧・一覧の記入例の4シート)
- 事故記録簿(PDF・A4縦1枚/印刷して手書き)・記入例(PDF)
- 事故の一覧(PDF・A4横1枚/15件分)
記録する「事故」に入るもの
第9条の2と第26条の2の「事故」は、どちらも次の2つを指します(貨物は輸送安全規則 第8条第1項第9号、旅客は運輸規則 第25条第1項第7号のかっこ書きで決まっています)。
- 道路交通法 第67条第2項の交通事故=車両等の交通による人の死傷、または物の損壊。人がけがをしなくても、塀・電柱・ほかの車などを壊せば入ります。
- 自動車事故報告規則 第2条の事故=転覆・転落・火災、死者や重傷者が出たもの、酒気帯び運転を伴うもの、運転者の病気で運行を続けられなくなったもの、車の故障で運行できなくなったもの など。
ですから、ドアミラーを電柱にこすった、荷台の扉を門柱に当てた、という軽い物損も記録します。「保険を使わなかったから」「警察を呼ぶほどではなかったから」は、記録しなくてよい理由になりません。
書く8つの事項(条文の号と欄)
第9条の2と第26条の2は、同じ8つの事項を挙げています。ひな形の上の段は、この号の順に並べました。
| 号 | 欄 | 書くこと |
|---|---|---|
| 一 | 乗務員等の氏名 | 事故のときに運転していた人。1人で営むなら自分の名前 |
| 二 | 車両番号 | ナンバー(軽自動車は車両番号)。どの車か分かれば足ります |
| 三 | 発生日時 | 年月日と時刻 |
| 四 | 発生場所 | 住所と、どんな場所か(交差点・配達先の前・構内など) |
| 五 | 当事者の氏名 | 相手の運転者・壊した物の持ち主など。自分の側の乗務員は書きません |
| 六 | 事故の概要 | 何が起きたかと、損害の程度(けが人・壊れた物・車の傷) |
| 七 | 事故の原因 | なぜ起きたか。運転者の確認の仕方・道路・車の状態 |
| 八 | 再発防止対策 | 同じ事故を起こさないために何を変えたか |
- 貨物の第2号は「自動車登録番号又は車両番号」、旅客の第2号は「自動車登録番号」と書かれています。軽自動車のナンバーは車両番号なので、貨物の条文に「車両番号」が入っています。
- 第六号の「損害の程度を含む」は条文のかっこ書きです。ひな形では、事故の種類・けが人・損害の程度・経過の4行に分けました。けが人がいなければ「なし」と書いておくと、書き忘れと区別できます。
- 条文は書く事項を決めているだけで、決まった様式はありません。会社の書式・トラック協会の様式・このひな形のどれでも、8つの事項がそろっていれば足ります。
記入例の書き方(後退でブロック塀に当てた物損事故)
記入例は、配達先の前で荷台の側を寄せようと後退し、車の左後部を道路わきのブロック塀の角に当てた事故です。
- 概要は、読んだ人が場面を思い浮かべられるように、何をしようとして・どこが・何に当たったかを書きます。損害は「塀の角が欠けた(幅約10cm)」「左後部のバンパーに擦り傷」のように、物ごとに大きさまで書きます。
- 原因は「不注意」で終わらせず、何をしなかったか・何が見えていなかったかを書きます。記入例では「降りて後方を確かめず、バックモニターだけを見て下がった」「塀の角がモニターに映らない位置にあった」としました。
- 再発防止対策は、明日からの動きが変わる形で書きます。記入例では「いったん降りて目で確かめてから下がる」「この配達先では前向きに停める」と決め、翌日の業務前の点呼の指示事項に入れました。指示事項の書き方は点呼記録簿のテンプレートにあります。
保存は3年・事故が無い月は
記録は、事故を起こした車の運行を管理する営業所で3年間保存します(第9条の2・第26条の2)。条文は保存を始める日を書いていません。ひな形の事故の一覧は、発生日から3年後の日付を目安として出します。記録が遅れたときは、記録した日から数えておくと確実です。
条文が求めているのは、事故が起きたときの記録です。事故が無かった月に何かを書く決まりはありません。それでも、一覧に何も無い年が続くと「書き忘れたのか、本当に無かったのか」が後から分からなくなります。月ごとに「事故なし」と書いた紙を残しておくと、自分でも見分けがつきます。
事故の記録のほかにも、事故を書く書類があります。
- 業務の記録(運転日報): 事故や著しい遅れがあった日は、その概要と原因を書きます(輸送安全規則 第8条第1項第9号)。→ 運転日報の書き方
- 運転者台帳: 一般貨物と旅客の台帳には「事故を起こした場合の概要」の欄があります(輸送安全規則 第9条の5・運輸規則 第37条)。→ 運転者台帳のテンプレート
- 死者や負傷者が出た事故を起こした運転者には、特別な指導と適性診断を受けさせます(輸送安全規則 第10条第2項・運輸規則 第38条第2項)。対象と台帳への書き方は運転者台帳のページにまとめています。
自動車事故報告書との違い
事故記録簿は、事故の大小にかかわらず営業所で残しておく自分の記録です。自動車事故報告書は、自動車事故報告規則 第2条に当たる重い事故のときに、国へ出す報告です。
- 出すとき: 事故があった日から30日以内に、事故ごとに報告書3通を、運輸監理部長か運輸支局長を経由して国土交通大臣に出します(第3条第1項)。
- 急ぐとき: 死者が2人以上(旅客の事業は1人以上)・重傷者が5人以上・負傷者が10人以上・酒気帯び運転があった など第4条の事故は、報告書とは別に、24時間以内にできる限り速やかに、電話などで運輸支局などに速報します。
- 事業用の軽自動車も対象です。条文が除いているのは、自家用の軽自動車などです(第3条第1項・第4条第1項のかっこ書き)。
報告書を出した事故も、事故記録簿には記録します。ひな形には「自動車事故報告書(重大な事故)」の欄を付けました。該当するかどうかの判断に迷うときは、管轄の運輸支局に確かめてください。
法令の根拠
- 貨物自動車運送事業輸送安全規則 第9条の2(事故の記録) — 貨物(軽貨物を含む)の8つの事項と3年の保存
- 同 第8条(業務の記録) — 第1項第9号で「事故」の範囲を決め、業務の記録にも事故の概要と原因を書く
- 旅客自動車運送事業運輸規則 第26条の2(事故の記録) — 旅客(介護タクシー・タクシーなど)の8つの事項と3年の保存
- 道路交通法 第67条(危険防止の措置) — 第2項で「交通事故」を車両等の交通による人の死傷・物の損壊と決めている
- 自動車事故報告規則 第2条(定義)・第3条(報告書の提出)・第4条(速報) — 重い事故の範囲・30日以内の報告書・24時間以内の速報
軽貨物の事故の記録は 2025年4月1日の改正で始まりました(e-Gov の改正の前後の条文で、第9条の2 の対象が「一般貨物自動車運送事業者等」から「貨物自動車運送事業者」に変わったことを確かめました)。第8条(業務の記録)のような「四輪以上の軽自動車に限る」という書き方は、第9条の2 にはありません。
条文は 2026年10月11日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です。改正されることがあるので、最新の条文もあわせてご確認ください。
事故の記録をスマホで
「運転日報」アプリ(軽貨物向け)と「介護タクシー日報」アプリは、事故を記録すると、月ごとの事故記録簿をPDFで作ります。事故の無かった月は「事故なし」と書いた記録簿を出せます。記録した事故は、その運転者の台帳の「事故歴」にも自動で書き写されます。
どちらのアプリも本体は無料で、事故記録簿のPDFも出せます(無料版はPDFに「SAMPLE」の透かしが入ります)。Pro版は一度きりの買い切りです。
- 運転日報(軽貨物): App Storeで見る ・ Google Playで見る
- 介護タクシー日報: App Storeで見る ・ Google Playで見る
よくあるご質問
Q. 事故記録簿の保存期間は? A. 3年間です。事故を起こした車の運行を管理する営業所で保存します(貨物は輸送安全規則 第9条の2、旅客は運輸規則 第26条の2)。
Q. 人がけがをしない物損事故も記録しますか? A. 記録します。記録する「事故」には、道路交通法の交通事故(車両等の交通による人の死傷または物の損壊)が入ります。塀や電柱、ほかの車を壊した事故も対象です。
Q. 1人で軽貨物をしています。事故記録簿はいりますか? A. いります。第9条の2 は 2025年4月1日から「貨物自動車運送事業者」を対象にしていて、軽貨物の事業者も入ります。乗務員等の氏名の欄には自分の名前を書きます。
Q. 決まった様式はありますか? A. 第9条の2・第26条の2 は記録する8つの事項を決めていて、様式の指定はありません。8つの事項がそろっていれば、エクセルでも手書きでもアプリのPDFでもかまいません。
Q. 事故が1件も無い月も、何か書く必要がありますか? A. 条文は事故が起きたときの記録を求めていて、事故が無い月の記録は決めていません。ただ、月ごとに「事故なし」と書いた紙を残すと、書き忘れと区別がつきます。
Q. 事故記録簿と自動車事故報告書は、何が違いますか? A. 事故記録簿は、事故の大小にかかわらず営業所に残す記録です。自動車事故報告書は、死者や重傷者が出たなど自動車事故報告規則 第2条に当たる事故のときに、30日以内に運輸支局などを経由して国に出す報告です。報告書を出した事故も、事故記録簿に記録します。
Q. 介護タクシーも同じ書き方でよいですか? A. はい。旅客の運輸規則 第26条の2 も、同じ8つの事項と3年の保存を決めています。ひな形はそのまま使えます。
Q. 運転日報にも事故のことを書きますか? A. 書きます。事故や著しい遅れがあった日は、業務の記録にその概要と原因を書きます(輸送安全規則 第8条第1項第9号)。事故記録簿は、それとは別に事故ごとの詳しい記録として残します。
Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。クレジット表記も不要です。
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