車の家事按分の計算方法と計算表(エクセル・無料)

このページの要点

  • 仕事と私用で同じ車を使うときは、車にかかった費用のうち仕事に使った分だけを経費にします。これを家事按分(かじあんぶん)といいます。
  • 車の割合は走行距離で出すのが分かりやすく、記録も残しやすい方法です。12か月の仕事と私用の走行を書くと割合が出て、費目ごとに経費にする額まで計算するエクセルのひな形を、無料で配っています。会員登録はいりません。
  • 根拠は所得税法 第45条と所得税法施行令 第96条です。白色申告と青色申告で書き方が少し違います(下の「法令の根拠」)。割合は、実際の使い方を記録で説明できることが大事です。

車の家事按分の計算表です。エクセル(xlsx)とPDFを用意しました。エクセル版は「家事按分の計算表」のシートと「記入例」のシートの2枚で、走行距離を書くと割合と経費にする額が自動で出ます。

ダウンロード

手書きで使うときは、月ごとの走行を書いたあと、割合と事業分の金額を電卓で出してください。エクセルなら、合計・割合・事業分・私用の分の欄は空けたままで計算されます。

車の家事按分の計算表の記入例。上に年分・屋号・車両・割合の根拠にした記録の欄。1の表は1月から12月までの仕事の走行と私用の走行で、1年の合計は仕事35,450km・私用3,980km・合計39,430km・仕事の割合89.9%。右の箱に事業に使った割合90%。2の表は費目ごとの1年の金額・割合・事業分・私用の分で、ガソリン代452,600円の事業分は407,340円、高速代・駐車場代は100%、合計は1年の金額1,036,200円・事業分936,420円・私用の分99,780円
記入例(軽バン1台・個建ての配送・休みの日は家族の買い物にも使う・2026年分・架空)。名前・屋号・車両番号は ◯◯ にしています。金額と税額は書き方を示すための仮の数字です。

車の家事按分とは

個人事業主が仕事にも私用にも使う車は、かかった費用の全部を経費にはできません。1年のガソリン代・保険・税金・修理などを「仕事に使った分」と「私用の分」に分け、仕事の分だけを経費にします。この分け方が家事按分です。

分ける割合は、法律で「何%」と決まっているわけではありません。実際にどれだけ仕事に使ったかを、記録で説明できる割合にします。車の場合によく使われるのは次の3つです。

決め方計算向いている人
走行距離(このひな形)仕事の走行 ÷ 走行の合計運転日報や走行の記録をつけている人
使った日数仕事に使った日 ÷ 車を使った日1日の中で仕事と私用が混ざらない人
使った時間仕事で使った時間 ÷ 車を使った時間距離より時間で働き方が決まる人

走行距離の割合は、毎日のメーターの数字がそのまま根拠になります。軽貨物の配送のように毎日の業務の記録(運転日報)をつけている人なら、新しく記録を増やさずに出せます。

割合の出し方(走行距離で出す)

  1. 仕事の走行を月ごとに足します。運転日報の「終業時のメーター − 始業時のメーター」を、仕事をした日の分だけ合計します。
  2. 私用の走行を月ごとに出します。月の最後と最初のメーターの差(その月に走った全部)から、仕事の走行を引いた残りが私用の分です。
  3. 12か月を足して、仕事の走行 ÷ 走行の合計を出します。ひな形は1%きざみに四捨五入しています。

記入例では、仕事の走行が1年で35,450km、私用が3,980kmで、割合は 35,450 ÷ 39,430 = 89.9%、四捨五入して 90% です。月ごとに見ると、お盆と年末年始の月だけ私用が増えていることも分かります。

私用だけに使った日(休みの日の買い物など)は、運転日報の日報にしないので仕事の走行に入りません。月のメーターの差を書き留めておけば、私用の分はあとから出せます。

経費ごとの分け方

割合を出したら、車にかかった費用を費目ごとに1年分まとめ、1年の金額 × 割合を事業分(経費にする額)にします。ひな形は1円未満を切り捨てています。

費目按分するか書き方
ガソリン代する給油の領収書の1年の合計
高速代・駐車場代分けて書く仕事の途中の分だけを書き、割合を100%にする。私用の分は最初から入れない
オイル交換・タイヤ・修理する整備の明細の合計
車検・点検する車検の時に払った自賠責保険・重量税・整備の代金
自動車保険(任意保険)する1年分の保険料
自動車税・軽自動車税する種別割の税額(その年に納めた額)
洗車・車内の備品する仕事の荷物のための備品なら割合を100%にしてもよい
減価償却費する車を買った代金を年数で分けた1年分。計算は別の表で出して、その額をここに書く
ローンの利息する返済の明細の利息の分だけ(元金の返済は経費ではない)

ひな形の「事業に使った割合」の列は、はじめは上で出した割合が入ります。仕事だけに使ったとはっきり言える費用は、その行だけ 100% に書き換えてください(記入例では配送の途中の駐車場代)。反対に、私用だけの費用(家族旅行の高速代など)は表に入れません。

減価償却費の計算そのもの(耐用年数・中古車の年数・定額法の計算)は、このひな形には入れていません。償却費は車の取得価額と年数で決まり、按分はその1年分に割合を掛けるだけです。

仕訳の例(会計ソフトに入れるとき)

毎回のガソリン代などをいったん全額で記帳し、年の終わりにまとめて私用の分を差し引くやり方が手間が少なく済みます。私用の分は「事業主貸」にします。記入例のガソリン代なら次のとおりです。

借方金額貸方金額
事業主貸45,260車両費(燃料代)45,260

勘定科目の名前(車両費・燃料費・旅費交通費・租税公課・保険料など)は、使っている会計ソフトや今までの帳簿に合わせてください。自動車税・軽自動車税は租税公課、任意保険は損害保険料に入れることが多く、どちらも同じ割合で私用の分を差し引きます。

欄ごとの書き方

欄書くこと
年分何年分の計算か(1月1日〜12月31日)
屋号・車両事業の名前と、按分する車(車種と登録番号)。車が2台あれば1台に1枚
割合の根拠にした記録割合を何から出したか。「運転日報の走行距離」など、あとで見せられる記録の名前
仕事の走行・私用の走行月ごとの km。仕事の走行は日報の合計、私用は月のメーターの差から仕事の分を引いた残り
費目・1年の金額1年分の合計。領収書・明細・証券など、金額を確かめた書類を根拠の欄に書く
事業に使った割合上で出した割合(自動で入る)。仕事だけの費用は100%に書き換える
事業分・私用の分1年の金額 × 割合と、その残り(自動で計算)

法令の根拠(所得税法 第45条・施行令 第96条)

所得税法 第45条 第1項 第1号は、「家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの」を必要経費に入れないとしています。その政令が所得税法施行令 第96条で、次の経費は必要経費に入れてよいとしています。

  • 第1号:主たる部分が業務の遂行上必要で、その必要な部分を明らかに区分できる場合の、その部分
  • 第2号:青色申告の承認を受けている人は、取引の記録等に基づいて、業務の遂行上直接必要だったことが明らかにされる部分

つまり、仕事に使った分を記録ではっきり分けられることが前提です。走行距離の記録はその根拠になります。白色申告と青色申告で扱いがどう違うか、自分の割合がどこまで認められるかは、税務署か税理士に確かめてください。このページは税金の計算そのものを案内するものではありません。

毎日の日報から、家事按分の欄まで

「運転日報」アプリは、スマホで毎日の運転日報を作るアプリです。日報に入れた始業・終業の km が走行距離になり、その日の経費(燃料代・駐車場代など)を入れておくと、月次集計のPDFに家事按分の表(経費の合計 × 事業使用割合 = 按分後の経費)が付きます。事業使用割合は設定で決め、CSV の書き出しにも按分後の経費が入ります。

アプリが計算するのは、日報に入れた経費の合計に、設定した1つの割合を掛けるところまでです。走行距離から割合を出す計算・費目ごとに割合を変える表・保険や税金や減価償却費のような1年に1回の費用の按分は、アプリにはありません。1年分はこのひな形で計算し、月ごとの走行の合計はアプリの月次集計から写してください。

運転日報アプリの月次集計のPDFの家事按分(確定申告用)の表。経費計(記録ベース)147,200円、事業使用割合80%、按分後経費(事業分)117,760円。下に、事業使用割合は設定画面で変更できること、走行記録は按分割合の根拠資料として利用できることの注記
運転日報アプリの月次集計のPDF(2枚目)の家事按分の表(架空のデモデータ)。全体の見本は記入例のページにあります。

App Storeで見る ・ Google Playで見る

よくあるご質問

Q. 車の家事按分の割合は何%までなら大丈夫ですか? A. 決まった上限や目安の数字はありません。大事なのは割合の高さではなく、実際の使い方を記録で説明できることです。毎日仕事に使う車なら90%を超えることもありますし、週に数日だけなら半分より低くなります。

Q. 走行距離の記録がない年はどうしますか? A. 使った日数(カレンダーや売上の記録で仕事をした日を数える)で出す方法があります。来年からは、運転日報や月ごとのメーターの数字を残しておくと、走行距離で出せます。

Q. ガソリン代だけ按分して、保険や税金は全部経費にしてもいいですか? A. 車を私用にも使っているなら、保険・税金・車検・減価償却費も同じ車にかかる費用なので、同じように分けるのがふつうです。費目によって割合を変えるときは、その理由(仕事の途中の駐車場代だけ、など)を根拠の欄に書いておいてください。

Q. 割合は毎月変えますか、1年で1つにしますか? A. このひな形は1年の走行の合計から1つの割合を出し、1年分の費用に掛けます。月ごとに働き方が大きく変わる人は、月ごとの割合で月ごとの費用を分けてもかまいません。どちらにするかを決めたら、毎年同じやり方で続けてください。

Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。費目の行を足したり、割合の出し方を日数に変えてもかまいません。クレジット表記も不要です。

関連ページ

条文は2026年10月24日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です(所得税法は2026年10月1日施行の版、所得税法施行令は2026年5月22日施行の版)。