無料の退去立会いチェックシート(雛形・エクセル)

このページの要点

  • 退去立会いのチェックシートは、部屋を明け渡す日に、貸主側と退去者が一緒に部屋を回り、箇所ごとの状態と負担の見立てを書き残す紙です。写真の番号と並べて残すと、後の敷金の精算で「言った・言わない」になりにくくなります。
  • 入居者が直す義務があるのは、入居者の使い方でできた損傷だけです。ふつうに住んでできた損耗や年月による変化は除かれます(民法 第621条)。シートの「負担」の欄は、この線をその場で書き分けるためのものです。
  • 26の箇所を並べたエクセルの雛形(記入例のシートつき・状態と負担は一覧から選ぶ)とPDFを、無料で配っています。会員登録はいりません。

賃貸の個人大家・管理会社の方が、退去立会いの当日に使うチェックシートの雛形です。エクセル(xlsx)とPDFを用意しました。1枚目が部位ごとの表(玄関・廊下・リビング・洋室・和室・キッチン・浴室・洗面所・トイレ・バルコニー・設備)、2枚目が表に無い箇所・鍵の返却・残置物・特記事項と、確認の署名の欄です。

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退去立会いチェックシートの記入例の1枚目。物件名は◯◯ハイツ 301号室、間取り1LDK、入居日2023年4月1日、退去日2026年10月31日。部位ごとの表で、リビングの床はキズ・汚れ・負担は貸主・ソファの脚の跡のへこみ、リビングの壁はキズ・汚れ・貸主・日焼けによる色の差、洋室の壁は要補修・入居者・クギ穴3か所、キッチンのコンロ・換気扇はキズ・汚れ・協議・油汚れ、キッチンの床・壁はキズ・汚れ・貸主・冷蔵庫の後ろの電気ヤケ、和室は対象外。下に負担の数 入居者1・貸主3・協議1
記入例の1枚目(1LDKの単身の退去・架空)。物件名・住所・名前は ◯◯ にしています。

退去立会いでチェックシートを使う理由

退去立会いは、鍵を返してもらう前に、貸主側(大家や管理会社)と退去者が一緒に部屋を見て回る場です。ここで見たことを口頭だけで済ませると、精算書が届いてから「その傷は入居した時からあった」「そんな話は聞いていない」となりがちです。

チェックシートに残すのは、次の3つです。

残すことなぜ残すか
箇所ごとの状態どこに・どのくらいの傷や汚れがあったかを、その日の事実として残す
負担の見立て入居者が直すものか、貸主の側で持つものかを、その場で分けておく
両方の確認同じ紙を見て確かめた、という署名と写しを残す

写真だけでも事実は残りますが、写真には「どちらの負担と見たか」が書けません。シートの行に写真の番号を書いておくと、写真と見立てが1対1でつながります。

欄ごとの書き方

欄書くこと
物件名・住所・間取り建物名と部屋番号、住所、1LDK などの間取り
退去者契約者の名前。代わりの人が立ち会うときは、2枚目の署名の欄に続柄も書く
入居日・退去日契約書の入居日と、明け渡しの日。年数は後の精算(年数による負担の割合)に使う
立会い日時・立会者始めと終わりの時刻、貸主側で立ち会った人と会社
状態正常/キズ・汚れ/要補修/要交換/対象外(その部屋が無い)から選ぶ
負担入居者/貸主/協議から選ぶ。正常の行は空けておく
写真No.その箇所を撮った写真の番号。1つの行に何枚か撮ったら「4・5」のように並べる
気づいたこと場所(北面・窓の下など)・大きさ(3か所・30cm)・原因の見立て(家具の跡・日焼けなど)
表に無い箇所(2枚目)物置・駐輪場・専用庭・駐車場など、部屋の表に無い所
鍵・メーター・残置物渡していた鍵の本数と返ってきた本数、電気・ガス・水道の停止の連絡、置いていった物
特記事項その場で決めきれず後日決めること(協議の行)と、いつまでに誰が連絡するか

エクセル版の1枚目の下には、負担の欄から「入居者・貸主・協議」の数と、要補修・要交換の数を数える式が入っています。

状態と負担の書き分け

状態は「見たまま」、負担は「誰が直すかの見立て」です。2つを別の欄にしておくと、「キズはあるが、ふつうに住んでできたもの(貸主)」のような行が書けます。

負担どんなとき
入居者入居者の使い方・手入れの不足でできた損傷。落とし物でできたへこみ、クギ穴、たばこの焦げ跡など
貸主ふつうに住んでできた損耗と、年月による変化。家具の跡、日焼け、電気ヤケなど
協議その場で決めきれないもの。清掃で落ちるか分からない汚れ、原因がはっきりしない傷など

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、どちらの負担と考えるかの例を挙げています。そのうち立会いでよく出るものを、要約して並べます。

よく出る例負担の目安
家具を置いた跡の床のへこみ貸主(ふつうの使用による損耗)
日光によるクロス・畳の変色貸主(年月による変化)
冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみ(電気ヤケ)貸主(ふつうの使用による損耗)
画びょう・ピンの穴(下地のボードを替えるほどでないもの)貸主
クギ穴・ネジ穴(下地のボードを替える必要があるもの)入居者
手入れを怠ったために付いた台所の油汚れ・すす入居者
たばこのヤニ・臭い(クリーニングで落ちないもの)入居者

ガイドラインは法令ではなく、トラブルを防ぐための考え方を示した指針です。契約書に特約(たとえば退去時のクリーニング代を入居者が持つ、など)があればそれも見ます。迷う行は無理に決めず「協議」にして、特記事項に後日決める期限を書いておきます。

記入例の読み方(1LDKの単身の退去)

行状態負担読み方
リビング 床キズ・汚れ貸主ソファの脚の跡=家具を置いた跡
リビング 壁・天井キズ・汚れ貸主東面の日焼け=年月による変化
洋室 壁・天井要補修入居者クギ穴が下地のボードまで届いている
キッチン コンロ・換気扇キズ・汚れ協議清掃で落ちるかを確かめてから決める
キッチン 床・壁キズ・汚れ貸主冷蔵庫の後ろの電気ヤケ
和室対象外—和室の無い間取り

2枚目の特記事項には「換気扇の油汚れは、清掃業者に落ちるかを確かめてから負担を決め、11月7日までに退去者へ連絡する」と書いています。協議の行を残したまま署名するときは、何を・いつまでに・誰が決めるかを書いておくと、後の連絡がもめません。

記入例の2枚目。表に無い箇所に屋外の物置(正常・写真7・中は空)、渡していた鍵は玄関2本、返却された鍵は玄関2本と物置1本、電気・ガス・水道の停止は退去者が連絡済み、残置物なし、特記事項、確認の署名の欄(貸主・管理会社、退去者、署名した日)と、写しを退去者に渡した日
記入例の2枚目(鍵・確認とサイン)。

立会いの当日の進め方

  1. 前もって見ておくもの: 契約書の特約と、入居時の記録(チェックシートや写真)があれば手元に。入居時の記録と見比べられると、「最初からあった傷」の話が早く片づきます。
  2. 玄関から奥へ、表の順に回る: 部屋ごとに床→壁・天井→窓→設備の順で見ると、見落としが減ります。水回りは水を流して、漏れと詰まりも確かめます。
  3. 撮ったらすぐ行に番号: 写真は全体を1枚、傷は寄りで1枚。撮った順の番号を、その行の「写真No.」に書きます。
  4. 負担はその場で声に出して書く: 退去者にも聞こえるように「ここは家具の跡なので貸主で」と言いながら書くと、後で食い違いにくくなります。
  5. 鍵と残置物を確かめる: 渡していた本数と返ってきた本数を数え、置いていった物が無いかを確かめます。
  6. 署名と写し: 2枚目の確認の欄に両方が署名し、写し(コピーか写真)を退去者に渡します。

確認の署名と写し

署名は、その日の部屋の状態を両方で確かめたことの記録です。精算の金額に同意したという意味ではありません(金額はまだ決まっていません)。退去者がその場で署名をためらうときは、署名の欄を空けたまま写しを渡し、「この内容で確かめた」ことを後でメールなどで返してもらう方法もあります。

写しを渡しておくと、退去者は精算書が届いたときに、立会いで何を確かめたかを見直せます。

法令の根拠

  • 原状回復の範囲: 民法 第621条は、入居者は入居した後にできた損傷を、契約が終わったときに元に戻す義務を負うとしています。ただし、ふつうの使用でできた損耗と、年月による変化は「損傷」から除かれます。入居者の責めに帰することができない理由でできた損傷も、戻す義務はありません。
  • 敷金の返還: 民法 第622条の2は、契約が終わって部屋を返してもらったとき、貸主は敷金から入居者の未払いの債務の額を差し引いた残りを返す、としています。立会いのシートは、この差し引く額を決めるときの元の記録になります。
  • ガイドライン: 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は法令ではなく、裁判例などをもとにした考え方の指針です。上の例のほか、入居していた年数に応じて入居者の負担を小さくする考え方も示しています(このシートでは年数による割合の計算は扱いません)。

退去立会いレポートのアプリでできること

「退去立会いレポート」は、退去立会いの記録をスマホで残して、写真つきのPDFにするアプリです。玄関・水回り・壁紙など14の部位のタブで撮り、写真ごとに状態(正常/キズ・汚れ/要補修/要交換)と責任区分(入居者責任/経年劣化/未判定)をタップで付けます。このチェックシートの「状態」「負担」と同じ考え方です。大家・退去者・管理会社の指のサインもPDFに入ります。

退去立会いレポートで作った見積根拠版のPDF。上はリビングのページで、床と東面の壁の写真に「キズ・汚れ」「経年劣化」のタグと説明。下は「見積根拠:補修・交換が必要な箇所」の表で、部位は寝室、状態は要補修、責任区分は入居者、想定費用メモはクロス張替え(当該壁1面)
退去立会いレポートで作った見積根拠版のPDF(アプリの完成見本の架空のデータ)。上が部位のページ、下が補修・交換が必要な箇所の一覧のページです。

PDFは、シンプル版・見積根拠版・入居者控え版の3種類から選べます。紙のシートに写真の番号を書き込む手間が無く、写真と見立てが最初から1枚にまとまります。補修・交換が必要な箇所の一覧のページや透かしの扱いなど、無料版とPro版の違いは紹介ページにまとめています。

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よくあるご質問

Q. 入居したときのチェックシートや写真がありません。 A. 退去の日の記録だけでも残す意味はあります。入居時の記録が無いと「最初からあった傷」かどうかで話がもつれやすいので、迷う行は「協議」にして、特記事項に理由を書いておきます。次の入居者からは、入居の日にも同じシートで記録しておくと確実です。

Q. 退去者が立会いに来られません。 A. 貸主側だけで回り、シートと写真を残します。署名の欄は空けたまま、写しを退去者に送り、内容を確かめてもらいます。代わりの人が来るときは、2枚目の退去者の署名の欄に名前と続柄を書いてもらいます。

Q. 写真は何枚くらい撮ればいいですか? A. 部屋ごとに全体を1枚、傷や汚れがある箇所は寄りで1枚ずつが目安です。大きさが分かるように、定規や手を一緒に写すと後で伝わりやすくなります。

Q. 立会いのその場で、修理の金額まで決めたほうがいいですか? A. その場では、状態と負担の見立てまでにして、金額は業者の見積りを取ってから精算書で示すほうが、退去者も確かめやすくなります。このシートの署名も、金額への同意ではなく「この時点の状態を確かめた」ことの記録として扱います。

Q. 退去者がたばこを吸っていました。クロスは全部入居者の負担になりますか? A. ガイドラインは、ヤニや臭いがクリーニングで落ちない程度なら、入居者の負担になりうるとしています。ただし、入居していた年数による割合の考え方もあるので、シートでは「要交換・入居者」と見立てを書き、割合は精算のときに決めます。

Q. テンプレートの利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。箇所の行を物件に合わせて足したり減らしたり、社名やロゴを入れたりしてもかまいません。クレジット表記も不要です。

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条文は2026年10月28日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です(民法 第621条・第622条の2)。国土交通省のガイドラインの例は、同じ日に同省のページから要約しました。原状回復の負担は、契約の特約や部屋の状況で変わることがあります。個別の判断は、管理会社や専門家に確かめてください。