古物商の本人確認の方法
このページの要点
- 古物を買い受ける・交換する・売却や交換の委託を受けるときは、相手方の住所・氏名・職業・年齢を確かめる措置をとります(古物営業法 第15条第1項)。売るとき(引き渡すとき)には要りません。
- 措置は4つの区分です。第1号=身分証明書などの提示、第2号=署名した文書の交付、第3号=電子署名つきの記録、第4号=施行規則で決まった方法(宅配買取やネット買取のように会わない取引で使う13の方法)。
- 対価の総額が1万円未満なら要りませんが、書籍・ゲームソフト・CD・DVD・バイクの部品などは1万円未満でも確認します。台帳には区分を書き、第1号と第4号は方法も書きます(同 第16条第5号)。
本人確認は古物台帳の「確認の方法」の欄とひと続きです。このページでは、条文が決めている区分と方法を表にまとめ、台帳にどう書くかを例で示します。どう確かめたかを取引ごとに残しておく本人確認の控えのひな形(エクセル・PDF)も、記入例つきで無料で配っています。会員登録もメールアドレスの入力もいりません。
本人確認が要る取引・要らない取引
古物営業法 第15条第1項は、古物商が次のことをしようとするときに、相手方の真偽を確かめる措置をとるよう決めています。
| 取引 | 本人確認 |
|---|---|
| 買い受ける(買取・仕入れ) | 要る |
| 交換する | 要る |
| 売却の委託を受ける(委託販売の品を預かる) | 要る |
| 交換の委託を受ける | 要る |
| 売る・委託品を引き渡す | 要らない |
要らない場合は、第15条第2項に2つだけ書かれています。
- 対価の総額が1万円未満の取引(施行規則 第16条第1項で金額は1万円)。ただし、次の品物は1万円未満でも確認します(施行規則 第16条第2項)。
- 自動二輪車・原動機付自転車(ねじ・ボルト・ナット・コードなど汎用の部品を除く部分品を含む)
- エアコンの室外ユニット、電気温水機器のヒートポンプ
- 家庭用のゲームソフト
- CD・DVD・ブルーレイなど、音や映像を記録したもの
- 電線
- 金属製のグレーチング(側溝などのふた)
- 書籍
- 前に自分の店で売った品物を、その買主から買い取るとき(第15条第2項第2号)。
「対価の総額」は1回の取引の合計です。古本を1冊300円で20冊買い取れば6,000円ですが、書籍なので1万円未満でも確認が要ります。洋服を5着まとめて12,000円で買い取れば、1着あたりが安くても確認が要ります。
確認が要らない取引は、台帳への記載も要りません(第16条ただし書)。
本人確認の4つの区分
| 区分 | 条文の中身 | よくある場面 |
|---|---|---|
| 第1号 | 相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する | 店頭・出張買取で身分証明書を見る |
| 第2号 | 住所・氏名・職業・年齢を書き、署名した文書を受け取る | 店頭で買取申込書に書いてもらう |
| 第3号 | 電子署名つきの電子の記録を受け取る | 電子証明書を使うネットの申込み |
| 第4号 | 国家公安委員会規則(施行規則 第15条第3項)で決まった方法 | 宅配買取・ネット買取など会わない取引 |
第1号の確認は、身分証明書・運転免許証・個人番号カードなど、住所・氏名・年齢か生年月日が分かる書類の提示を受けるか、相手方の身元を確かめられる人に問い合わせる方法でします(施行規則 第15条第1項)。書類は、一人に一つだけ発行されるものに限られます。身分証明書には職業が書かれていないことが多いので、職業は相手方に聞いて台帳に書きます。
第2号の署名は、古物商や従業者の目の前で、万年筆やボールペンなどではっきり書いてもらったものでなければなりません(施行規則 第15条第2項)。書かれた住所・氏名・職業・年齢が本当でない疑いがあるときは、第1号のやり方で確かめ直します。
会わない取引で使う方法(施行規則 第15条第3項)
宅配買取やネット買取のように相手と顔を合わせない取引では、第4号の方法を使います。施行規則 第15条第3項には13の方法があり、どれも「住所・氏名・職業・年齢の申出を受ける」ことに、次のどれかを組み合わせます。
| 号 | 申出に組み合わせること |
|---|---|
| 1 | 印鑑登録証明書と、その印鑑を押した書面の送付を受ける |
| 2 | 本人限定受取郵便などを送り、届いたことを確かめる |
| 3 | 代金を本人限定受取郵便などで送って支払うと約束する |
| 4 | 住民票の写しなどの送付か、身分証明書のICチップの情報か、古物商のソフトで撮った身分証明書の画像の送信を受け、その住所へ転送しない扱いの郵便などを送って、届いたことを確かめる |
| 5 | 身分証明書・住民票の写しなどの写し2点か、写し1点と住所の分かる書類(6か月以内の公共料金の領収書など)の送付を受け、その住所へ転送しない扱いの郵便などを送って、届いたことを確かめる |
| 6 | 住民票の写しなどの送付を受け、その氏名の預貯金口座への振込みで代金を支払うと約束する |
| 7 | 身分証明書の写しの送付を受け、その住所へ転送しない扱いの郵便などを送って届いたことを確かめ、さらにその氏名の口座への振込みで代金を支払うと約束する |
| 8 | 古物商のソフトで撮った、相手方の容貌と写真付き身分証明書の画像の送信を受ける |
| 9 | 古物商のソフトで撮った容貌の画像と、写真付き身分証明書のICチップの情報の送信を受ける |
| 10 | 古物商や従業者の目の前で、タブレットなどの画面に氏名を書いてもらう |
| 11 | マイナンバーカードの署名用電子証明書と電子署名つきの記録の提供を受ける |
| 12 | 認定を受けた事業者の電子証明書と電子署名つきの記録の提供を受ける |
| 13 | 前に確認を済ませた相手方に識別符号(IDとパスワードなど)を付け、その送信を受けて同じ人だと確かめる |
いくつかの方法は、写しや画像を台帳(または電子の記録)とともに保存する場合に限って使えます。第4号で身分証明書の画像の送信を受けるとき、第5号、第7号、第8号(容貌の画像は除く)がそうです。下のひな形に「保存した写し・画像」の欄を設けたのはこのためです。
第10号は「目の前で」書いてもらう方法なので、店頭でタブレットに署名してもらう場合に使います。
台帳の「確認の方法」の書き方
古物台帳には、とった措置の区分を書き、第1号と第4号は方法も書きます(第16条第5号)。第2号と第3号は区分だけでかまいません。
| 場面 | 台帳の書き方の例 |
|---|---|
| 店頭で免許証を見た | 1号 運転免許証の提示 |
| 店頭で個人番号カードを見た | 1号 個人番号カードの提示 |
| 買取申込書に署名してもらった | 2号 |
| 宅配買取で住民票の写しを受け取った | 4号 規則15条3項4号 住民票の写しの送付+転送不要郵便の到達 |
| 本人限定受取郵便を送った | 4号 規則15条3項2号 本人限定受取郵便の到達 |
| ネット買取で容貌と免許証を撮ってもらった | 4号 規則15条3項8号 容貌と写真付き身分証明書の画像 |
古物台帳そのもののひな形と、ほかの欄の書き方は古物台帳のテンプレートにまとめています。
本人確認の控えのひな形(無料)
台帳の「確認の方法」は1行で書くので、郵便をいつ送っていつ届いたか、どの写しをどこに保存したかまでは入りません。立入検査(第22条)で聞かれたときや、あとで同じ相手かを確かめたいときのために、取引ごとの控えを1行で残しておけるようにしたのがこのひな形です。法令で決まった様式ではありません。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 確認した日・台帳No. | 古物台帳の行と結びつけるため、台帳の番号を書きます |
| 区分 | 第1号〜第4号か、確認が要らない取引(エクセルは一覧から選べます) |
| 方法 | 見た書類の名前。第4号は施行規則 第15条第3項の何号か |
| 確かめたこと | 申出の住所・氏名と書類が合っていたか、写真と本人を見比べたか |
| 送った郵便・代金の振込 | 郵便の種類、送った日と届いた日。振込で払う方法は口座の名義 |
| 保存した写し・画像 | 保存が条件の方法で受け取った写しや画像と、その置き場所 |
マイナンバーカードを見るときの注意
個人番号カードは第1号の身分証明書として使えますが、見るのは表面(氏名・住所・生年月日)だけにします。番号法は、法律で決まった場合のほかに、他人に個人番号の提供を求めることと、他人の個人番号を集めたり保管したりすることを禁じています(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 第15条・第20条)。古物の本人確認でカードの裏面を写したり、個人番号を台帳や控えに書き写したりしないでください。
フリマアプリなどで仕入れたとき
古物商が営業として古物を買い受けるときは、相手が個人の出品者でも第15条の対象です。1万円以上の取引と、1万円未満でも確認する品物(書籍・ゲームソフト・CD・DVD など)は、確認の措置をとって台帳に書きます。
会わない取引なので、使うのは第4号(施行規則 第15条第3項)の方法です。どの方法も、相手方から住所・氏名・職業・年齢の申出を受けることが前提で、郵便を送る方法は相手方の住所に郵便を届けることになります。フリマアプリの取引のしかたでどの方法をとれるか、とれない取引をどう扱うかは、営業所を管轄する警察署に確かめておくと安心です。
よくあるご質問
Q. 1万円未満なら、本人確認も台帳も要りませんか? A. 上の一覧の7つ(書籍・ゲームソフト・音や映像の記録・二輪とその部分品・室外ユニットとヒートポンプ・電線・グレーチング)に当たらない品物で、対価の総額が1万円未満なら、確認も記載も要りません(第15条第2項第1号・第16条ただし書・施行規則 第16条)。あとで1万円未満だったと分かるように、代金を控えておくと安心です。
Q. 売るときにも本人確認は要りますか? A. 第15条第1項の確認は、買い受ける・交換する・委託を受けるときのものです。売るとき(引き渡すとき)には要りません。ただし、美術品類・時計・宝飾品類・自動車・自動二輪車と原付を引き渡したときは、台帳に相手方の住所・氏名・職業・年齢を書きます(施行規則 第18条。自動車そのものは相手方の欄を空けてかまいません)。
Q. 常連のお客さまにも毎回確認が要りますか? A. 第15条第1項は、取引をしようとするたびに措置をとるよう決めています。会わない取引なら、前に確認を済ませた相手に IDとパスワードなどを付けて、その送信で同じ人だと確かめる方法があります(施行規則 第15条第3項第13号)。店頭では、毎回身分証明書を見せてもらうのが確実です。
Q. 身分証明書のコピーを取っておく必要はありますか? A. 店頭で見せてもらう第1号の確認では、条文はコピーを求めていません。会わない取引の方法のうち、写しや画像を台帳とともに保存することが条件になっているもの(施行規則 第15条第3項の第4号で画像を受けるとき・第5号・第7号・第8号)は、保存が要ります。個人番号カードの裏面は写しません。
Q. 相手が法人のときはどうしますか? A. 第15条と施行規則 第15条には、相手方が法人の場合を分けた決まりはありません。だれの住所・氏名・職業・年齢を確かめて台帳に書くか(来店した担当者か、法人の名称と所在地か)は、営業所を管轄する警察署に確かめておくと安心です。
Q. 不正品かもしれないと思ったら? A. 買取や委託の前に不正品の疑いがあると思ったときは、すぐに警察官に申告します(第15条第3項)。
Q. ひな形の利用に条件はありますか? A. ありません。商用・非商用を問わず、自由に書き換えて使ってください。クレジット表記も不要です。
法令の根拠
- 古物営業法 第15条(確認等及び申告) — 4つの区分、1万円未満と買戻しの例外、不正品の申告
- 同 第16条(帳簿等への記載等) — 台帳に「確認の方法」を書くこと
- 同 第22条 — 立入検査
- 古物営業法施行規則 第15条(確認の方法等) — 第1号の書類、第2号の署名、会わない取引の13の方法
- 同 第16条 — 1万円という金額と、1万円未満でも確認する品物
- 同 第18条 — 引き渡したときに台帳に書く品物
- 番号法 第15条(提供の求めの制限)・第20条(収集等の制限) — 個人番号を求めない・集めない
条文は 2026年10月12日に e-Gov 法令検索で確かめた内容です(古物営業法施行規則は 2026年8月12日施行の版)。改正されることがあるので、最新の条文もあわせてご確認ください。迷う取引は、営業所のある地域の警察署で確かめてください。
記帳と確認が要るかをアプリで確かめる
「古物台帳」アプリの記帳要否判定は、取引の区分・品目・対価の総額・買戻しかどうかを選ぶと、その取引に台帳への記載と本人確認が要るかを、施行規則 第16条などの条文つきで示します。取引の記録では、本人確認の方法をメニュー(運転免許証の提示・面前での署名・本人限定受取郵便・住民票の写しと転送不要郵便・容貌と身分証の画像 など)から選べ、取引の順・通し番号つきの古物台帳PDFに「確認の方法」として載ります。
本体は無料で、取引10件まで試せます(PDFに「SAMPLE」の透かしが入ります)。Pro版は一度きりの買い切りです。
関連ページ
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